セルフホワイトニングは、歯科と何が違うのか店でできること・できないことと、契約前の確認点
自分で溶液を塗り、自分で光を当てる。歯科医院の処置とは別のサービスだ。店でできること・できないことと、契約前に確かめる点を整理した。
塗るのも、照らすのも、自分。
コーヒーを日に何杯も飲む。商談の席で、相手の視線が口元に来る気がする。歯の色が気になって調べると、最初に出てくるのが「セルフホワイトニング」という言葉だ。広島市中区でも、袋町や並木通りの周辺に専門の店がいくつかある1。
ただ、この言葉は誤解されやすい。歯科医院のホワイトニングと同じものだと思って店に入ると、話がかみ合わない。両者を分けているのは、価格や手軽さより先に、法律の線引きだ。
「ホワイトニング」は、二つの意味で使われている
日本歯科審美学会は、歯のホワイトニングという言葉を二つに分けて説明している。広い意味では、歯についた汚れや着色を取り除くクリーニングなども含めた総称。狭い意味では、歯の漂白(ブリーチ)だけを指す2。
歯科医院のホワイトニングは、多くの場合この狭い意味のものだ。セルフホワイトニングの店が扱うのは、そちらではない。同じ言葉で呼ばれているが、中身は別のサービスである。
歯科医院で行うもの
学会によれば、歯の漂白の効果が学術的に認められているのは、いずれも過酸化物からなる薬剤を使う方法だ。この薬剤は法律上、歯科材料として扱われ、歯科医師または歯科衛生士の資格を持たない者が用いて施術することは違法行為になる、と学会は説明している2。
厚生労働省の審査ガイドラインも、歯科用漂白材を医療機器として扱っている。使い方は二通りで、歯科医師、または歯科医師の管理下で歯科衛生士が患者に使うものと、歯科医師の管理下で患者が自分で使うものに分かれる3。どちらの場合も、歯科医師が関わる。
学会と厚生労働省の説明に従えば、過酸化物を使う漂白は、歯科医師が関わらない店で行うものではない。
セルフの店で行うもの
では、店では何をするのか。国民生活センターは、セルフエステを、消費者自身が機器や溶剤を使って施術を行うものと説明しており、セルフホワイトニングもその一つとして扱っている4。利用者が自分で溶液を歯に塗り、自分で光の照射器を口元に当てる。店のスタッフは手順と機器の使い方を案内する。
スタッフが利用者の口の中に触れず、溶液も塗らない形には理由がある。歯科医師法は「歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない」と定めている5。厚生労働省は2025年4月、歯科医院に併設するセルフホワイトニングサロンについての事業者からの照会に答えている。個別の事例について一概には答えられないとしたうえで、一般論として、歯科医行為にあたる可能性のある行為であっても、自分自身の体に対して行う場合は、この条文に違反しないと考えられる、という内容だ10。裏を返せば、スタッフが他人の口の中に溶液を塗る、処置をするといった行為は、歯科医業にあたるおそれがある。ただし、この部分は条文と回答から当編集部が読み取った理解で、スタッフの行為について行政が示した解釈ではない。「セルフ」という形は、手軽さのためだけにあるのではない。
学会は、こうした店で行われているのは、医薬部外品や化粧品にあたる製品を使った、歯のクリーニングに相当する行為だろうと推察したうえで、製品や方法の詳細は不明であり、学会として推奨するものではないとしている2。
店でできること・できないこと
整理すると、店が行うのは、場所と機器と溶液を提供し、使い方を案内することだ。サービスの目的は、歯の表面の着色汚れのケアにとどまる。
店に求められないことは三つある。一つ目は、過酸化物を使う漂白。学会の説明では、資格のない者が行えば違法行為になる2。二つ目は、スタッフが利用者の口の中に手を入れて溶液を塗ること。前の節で見たとおり、歯科医業にあたるおそれがある。三つ目は、歯や歯ぐきの状態を診ること。虫歯があるか、しみるのはなぜか、詰め物の色はどうなるか。こうした判断は歯科医師の仕事で、店のスタッフに求めるものではない。
表示にも線がある。化粧品として表示できる効能は範囲が決められており、そのうち「歯を白くする」「歯のやにを取る」は、いずれも使用時にブラッシングを行う歯みがき類に限られている6。これは化粧品にあたる製品の効能についての決まりで、店のサービスの広告を直接定めたものではない。それでも、溶液を塗って光を当てるだけで歯の色が変わると言い切る広告を見たら、その根拠を店に尋ねてよい。どの程度の変化を感じるかは人によって異なる。当編集部も、各店の溶液の成分や効果を検証してはいない。
契約の前に確かめること
国民生活センターは、2024年7月と2025年7月の二度、セルフホワイトニングの契約について注意を呼びかけた47。
紹介されている相談事例はこうだ。無料体験に申し込んで店に行くと強く勧誘され、最低契約期間と違約金があることは後から知らされた。無料体験は契約した場合の特典だと来店してから説明され、契約を結んだ。「今日だけのキャンペーン価格」と急がされて回数券を買い、解約を申し出ると断られた。これらは全国から寄せられた相談の例で、特定の店や広島の店を指すものではない。すべての店で起きているわけでもない。
エステティックサロンの契約であれば、期間と金額の条件を満たすものは特定商取引法の特定継続的役務にあたり、クーリング・オフや中途解約のルールがある8。しかし国民生活センターによれば、消費者が自分で機器を使うセルフの施術は、一般にクーリング・オフができず、書面の交付義務や中途解約のルールも適用されないケースが多い7。法律が一律に用意した出口が少ないぶん、契約書に書かれた条件の重みが増す。消費者契約法には、解約時の違約金のうち事業者に生じる平均的な損害を超える部分を無効とする定めがあるが9、当てはまるかどうかは個別の事情による。
確かめるのは、五つ
以上を踏まえると、確かめる点は五つに絞られる。
店に行く前に、自分の歯の状態。虫歯の治療中である、歯がしみる、歯ぐきから血が出る。心当たりがあるなら、先に歯科医院へ行く。
店では、まず説明の正確さを見る。歯科医院の処置とは別のサービスだと、店が自分から説明するかどうか。「歯科と同じ」と受け取れる言い方をする店は避けたほうがいい。
次に、溶液の中身。成分と、製品の区分が化粧品なのか医薬部外品なのかを尋ねる。答えられる店かどうかが分かる。
それから、1回だけの利用ができるか。まず1回試し、続けるかどうかは家に帰ってから決める。
最後に、契約の条件。月額制や回数券を選ぶなら、契約期間、自動更新の有無、解約の方法、違約金の額を、書面で確かめる。その場で決めるよう急がされたら、契約せずに帰っていい7。
違いを知ってから、店に入る
歯の色が気になったとき、選択肢は二つある。歯科医院で相談するか、セルフの店で表面の着色汚れのケアを試すか。どちらが正しいということはない。目的と、法律上できることが違う。
その違いを知ったうえで店に入れば、説明を聞いて自分で判断できる。契約で困ったときは、消費者ホットライン「188」に相談できる4。
この記事について
この記事は、メンズ眉毛専門サロン Lit(Men's Beauty Salon "Lit")の編集部が執筆した広告(PR)記事です。運営者のサロン(Lit/Lit-skin)の紹介を含みます。セルフホワイトニングは、利用者自身が溶液と光の照射器を使って行うサービスで、歯科医院で行うホワイトニングとは別のものであり、医療行為ではありません。感じ方には個人差があります。歯や歯ぐきの状態に不安がある場合は、歯科医院にご相談ください。本文の法律に関する記述は一般的な説明で、個別の店舗や契約についての判断ではありません。運営者はセルフホワイトニングの店舗を運営しておらず、掲載する店舗から掲載料・紹介料を受け取っていません。 編集方針と広告表記